ここあん便り

子どもの声(心)を受け止める

昨日は嬉しい一日でした。
我が町に市民交流センターみなとテラスがオープンし、合わせて市民図書館もリニューアルオープンを迎えたからです。

大勢の市民で賑わう館内、ぐるっと見学。
以前の狭い図書館とは違い、素敵な空間と本に囲まれ、存分に楽しめそうです。
お一人様席が充実していて、これからここあんがお休みの日の居場所になりそうな予感も。
人出の落ち着く平日に、じっくりと楽しみたいと思います。

オープン企画として、所属する読み聞かせ団体のみなさんとお話会を開き、何年もご無沙汰していた方々と出会えて、近況報告し合ったり、別な意味でも楽しい一日となりました。

さて、ここからが本題。
多くの親子連れで賑わう図書館、境港にもこれだけの親子連れがいるのだね〜と変に感心したりして親子観察しておりました。

長い間、本を借りることができなかったので、子どもたちは地べたに座り込んだりなどしながら選書しています。
来場者も多いので、人の足の間から手を伸ばすようにして読みたい本をたぐり寄せる子ども。
本を取るための台に上がって、嬉しそうにあれこれ探す子ども。
じっとできずにあちこち、とにかく確認作業に忙しい子ども。

何だろう、この感じ…。
例えば、セールになだれ込む大人の姿、お祭りの屋台をはしごする感じ、に似ているかな?
そう、どの子も嬉しくて”ちむ、どんどん”しているんです。

そうした中、あるお子さん(小学生)が時間をかけて選んだ一冊をお母さんに見せ「これ、読んで!」と言いました。
「夜、寝る前に読んであげるから」とお母さん。
お子さんはの表情は一瞬で曇りました。
「もういいや」って身体中で表現するように本をカートに投げ込むと母親と目を合わすこともなくその場を去りました。

ああ、もったいない〜
本棚の間には、ちょっと腰かけて本を読める座面が所々にあるのです。
「どれ、みせて」とお子さんに返事したら、その後どんなに会話が弾んだでしょう〜
「面白そうな本だね」と言えば、苦労して選んだ理由を教えてくれたかも知れません。
ほんの10秒、「読んで」の声に寄り添えば、お子さんの心を受け止めることができたのに。
その時読んであげられなくても、ひとまず気持ちを受け止めることさえできれば、お子さんは納得出来たと思うのです。

ひと組の親子の小さなやり取りが、ずっと気になりました。
果たして夜にその本を読んでもらえたのかな。
「読んであげようか」と親の方が誘っても、素直に喜べないんじゃないかしら?など、その後の親子関係を想像し、あれこれ案じるおばあさんです。