ここあん便り

赤ちゃんと言葉 ①「語りかけ」の前に「観察」を

小さな人が言葉を獲得するために、インプットされる情報の量が問われがちだけれど、私は決して量ではないと思っている。

「赤ちゃんに語りかける」ことが大切だということはもちろん理解しているし語りかけるべきだと認識している。
けれど、語りかけにはタイミングや相手(赤ちゃん)の気持ちにより添うことが必須だということを忘れないで欲しい。
「赤ちゃんにどう語りかけたら良いか分からない」と悩む方には、「それでいいんだよ、誰もはじめは分からない」と伝えたい。
いきなり語りかけようとしても、とまどうよね、みんな。
もしかするとはじめは恥ずかしかったりもすると思う。
まずは赤ちゃんの様子をしっかり観察することから始めましょう。
よく見て、よく見て、よく見ているうちに、赤ちゃんの気持ちが少しずつ分かるようになりますよ。
眠いんだな、とか、お腹すいたね、とか、抱っこして欲しいのかな、という風にね。
そうしたら、それをそのまま声に出してみてごらんなさい。
しっかりと赤ちゃんを見つめながら、
「どうしたの?眠くなっちゃったのかな?」
「お腹すいたねえ〜、おっぱいにしようか?」
「おしっこ出たの、気持ち悪かったね〜」
赤ちゃんの思いを代弁するように言葉を掛けると、赤ちゃんは目と表情と声とでお返事するはず。
極端なことを言えば、無理に言葉で表さなくても気持ちを理解していることが赤ちゃんに伝わればOK!
赤ちゃんがこれから先沢山の言葉を覚えていくために、まずは気持ちのやりとりを言葉というより表情で伝え合うことが必要なのだと私は信じています。
最近の「赤ちゃん研究」によれば、赤ちゃんは人の表情を理解していることが分かっています。
向き合う大人が無表情だと嫌がり(不安になり泣く)、笑顔だと喜ぶ(安心する)。
人と豊かにコミュニケーションすることが幸せなことだと、生後間もない赤ちゃんも心得ていると言うことかしら。
だから、語りかけの前に赤ちゃんをよくよく観察することが大事。
しっかり顔を見てあげる。
瞳の中をのぞき込むようにして気持ちをくみ取ってあげる。
そうすればほら、自然と言葉が出てくるでしょう。
初めのうちは赤ちゃんの「感覚や感情」に共感する日々だけれど、首が据わり赤ちゃん自身の目や耳が外に向かって開かれていくようになったら、赤ちゃんが見ているもの、きいているもの、感じているものについて少しずつ解説してあげる場面が増えるでしょう。
揺れるモビールを一心に見ているとき、「きれいね〜、ゆら、ゆらしているね」
鳥の鳴き声に気づいたとき、「鳥さんだね〜、チュンチュン、チュンチュン・・・良い声ね」
オムツを替えながら「ほうら、気持ちいいでしょう?」
足をぐーっと伸ばして「あんよ、のーびのーび、のーびのーび」
赤ちゃんのその時々の気持ちに寄り添う「共感の言葉かけ」を日々の暮らしの中でごく自然に積み重ねていくこと。
ただそれだけ。
あかちゃんが声を発するようになったら、お返事してあげてね。
赤ちゃんはお喋り好き、一生懸命話します。
「そーなの、ふーん・・・」相づちをうってあげるとより力を込めて声を上げます。
会話(やりとり)の練習を自らはじめるなんて、赤ちゃんって本当にすごい。
そしてとても努力家で勉強熱心なんです。
だから赤ちゃんの呼びかけには、しっかりと応えてあげてね。
「上手にできない?」
大丈夫、上手にできない人は声かけの達人にお手伝いしてもらいましょう。
年配の女性や子育て経験豊富な人などは、近くに行けばお願いしなくても色々と声を掛けてくれますよ。
色んな人に関わってもらい、手伝ってもらうことはちっとも悪いことじゃない。
幸せのお裾分けですからきっと喜ばれることでしょう。
何より、達人をから学ぶことができますしね。
さて、そうこうしているうちに赤ちゃんが言葉を発するようになります。
はじめて発するのは「マンマ」かしら、「ママ〜」かしら?
その辺りの話はのちほどまた。