ここあん便り

歌が生まれる(後編)

新曲の題名を依頼された私は、ぼうっとしながら帰宅した。
そして、改めて先ほどの演奏動画を見る(聴く)。
目を閉じて考える。
お風呂に入り、また動画を確認。
浮かんでくる言葉を書き留める。
曲名の候補を書き出し、眺める。
寝床に入ってからも、何かもっとふさわしい言葉が浮かんでこないかと想いを巡らす。
夢の中でも考え続けていたような気がする。

やがて朝が来て、昨夜書き留めたいくつかの候補を再度眺める。
朝食の支度をしながら、朝食をとりながらも頭の中は曲名を考え続けている。
「ゆっくりで良いですから、万里子さんならきっと素敵な題名をつけて下さるはず」
など言われたけれど、ゆっくりじゃ、まずいよね。
名前の決まらないままでは、練習の度に「名前のない新曲」って呼ばれるわけだし。

朝食を終えて、再度演奏を聴きながらペンを取る。
思いついた題名をネットで検索してみる。
ああ、誰かが同じタイトルをつけて歌っているみたい。
じゃあ、これではなく、他のにすべきか?
なかなかひとつに絞りきれない。
思い悩んだ末、久保さんに選んでもらうことにする。

私が良いと思う題名の候補を並べて書き出し、その中から「これ!」というのをお選び下さいと朝イチで届ける。
ちょうど音合わせを始めようとしていた久保さんは、目を通してすぐに「これが良いです。イメージにぴったり。」と即決。

ああ、良かった〜、気に入ってもらえて。
ひと仕事成し遂げて、肩の荷を下ろした私だったが、その日のうちにまた大荷物を背負うことになろうとは。

夜、境港での練習を終えた久保さんが大阪へ帰る途中に電話をくれた。
題名については、その後仲間たちの意見も取り入れ、久保さんが選んだ題名は副題となり、メインの題名は他の候補の中から決めたと報告を受けた。
さらに、この曲に詞をつけて歌ったら素敵だという話が持ち上がり、コンサートでMさんが歌うというところまで話は進展していると。
「なぬ? つまり・・・?」

こうして、その日から歌詞を生み出すという難産(産みの苦しみ)が私を支配した。
ふた晩考え続け、3日目に、もうこれ以上は生まれないと判断するところまで来て、その歌を久保さんへ送った。

さて、もうここから先は演奏される皆さんにお任せするほかはない。
久保さんの曲と私の歌詞とが、演奏家によってどんな世界を表現してくれるのだろう。
6月18日(日)午後2時からのコンサートでの初披露が楽しみだ。
曲名、歌詞は、当日のお楽しみ♪