ここあん便り

使命

宮崎駿監督の引退会見。
格好良かったなあ〜。
質問に軽やかに答えているけれど、ちゃんと生きて来た人の言葉だから、言葉に厚みと重みがある。

私はあの日以来、ひとつのフレーズを繰り返し思い出している。
子どもたちに対し、「この世は生きるに値する」ってことを伝えなきゃいけない、(そういう使命がある)って思い続けていたという監督の言葉は、これから先も忘れることはないだろう。

生きていると、面白くないことばかり起こるときがある。
何もかも投げ出してしまいたいと、実際に逃げることだってあるし、
生きていることさえ嫌になるほど辛い目にあうことだってある。
どちらかというと、自分の思い通りにいかないことの方が多いかも知れない。

そしてそれは、大人だけが抱えている問題ではなく、
自分の力で状況を変える術を持たない子どもにこそ当てはまることなんだ。

子どもに関わる仕事をする人間にとって、子どもという存在を理解する上で、欠くべからざる大事なメッセージを、改めて受け取らせていただいたことに深く感謝したい。

どんな時代であっても、「この世は生きるに値する」と伝え続けること。
それは同時に、「あなた自身が生きるに値する存在」だということを伝えることに繋がるに違いない。

私たちが一生懸命取り組んでいる「アートスタート」。
「この世には面白いことがいっぱいある」ってことを小さな人一人ひとりに伝えるこの活動を、
これからも丁寧に続けて行かなければと、そう思った。