韓国ドラマを相変わらず見続けているのだが、お隣の国とは言え、共通点が多く、度々驚かされる。
ひょんなことから、「イカゲーム」というネットドラマ(世界的にもブームになったとか)を観ることにした。そのため、契約するか否か、悩んでいたNetflixにすぐさま登録。
2021年の配信以後、Netflix歴代1位の視聴回数を誇るネットスリラー(本来なら見たくないタイプの作品)を恐る恐る見始めた。
ひょんなこと、というのは、保育園児が「イカゲームごっこ」に興じていたという話を耳にしたから。
イカゲームはサバイバルデスゲームを繰り広げるドラマなので、その真似ごとを園児がしているとしたら、それはちょっと怖いし、困る話だ。
何でも真似したがる年頃の小さな人が、「殺す」「死んだ」といった台詞を口にし、それを遊びとして面白がるということが、実際起こっている現状に驚かされ、複雑な心境…。
これはドラマを見てみる必要があるな、と思ったのだ。
実は、コン・ユ(俳優)が出演していることは前から知っていて、いつかみたいと思っていたことも視聴を後押ししたが、そもそも「イカゲームって何?」
検索してみて分かったのは、1970年代に流行った韓国の子どもたちの遊びがタイトル名なんだそう。
私たちも同じような陣取りゲーム(さくらねんぼ、十字ねんぼ…)をしたけれど、イカゲームは知らない。
ドラマでは、高額の借金を抱え生活に困窮する人たちが、命がけで子どもの遊びに挑戦する姿を描いている。
ドラマに登場する遊びは、「だるまさんがころんだ」や「メンコ」「コマ」など、私たちがよく知っている(遊んでいた)ものばかり。
異なるのは、失敗したら脱落者として殺されてしまうこと。
目を覆いたくなるような殺戮シーンの連続である。
16+の作品であると表示されており、地上波では放映できない作品だ。
どうしてこの作品が、Netflix史上最大のヒット作となったのだろう?
ギャンブルを繰り返さずにおられない愚かな主人公をはじめ、人生を踏み外し、ゲームに参加している様々な人が伝えるものは何だろう?
殺戮を繰り返してしまう人間の汚さ、愚かさがとことん描かれ、社会の不平等さを突きつけられるところなど、モヤモヤ、イライラしつつ、食欲減退してしまうドラマ。
唯一生き残った主人公が、自身の生き方を変え、見えない敵に立ち向かおうとする第2作目を見終え、第3作を見る気持ちが少々失せている。
実は、第1作目(全9話)を見終えたところで、続く第2話題3話への視聴意欲は失せているのだが、結末がどうなったのかが気になったこと、コン・ユ演じる「メンコ男」と主人公との対決にそそられ、つい第2話の沼へと入り込んでしまった。
さて、この作品を小さな子どもたちが親の傍らで観ていること、そして遊びとして模倣していたことが、視聴のきっかけとなったことは冒頭に記したのだが、16+(視聴年齢16才以上)の作品を、幼い子どもの前で観ることは、止めていただきたいと切に願う。
暴力、殺戮など過激なシーンなどを、ドラマや映画、或いはゲームなどで繰り返し観ることが、暴力等の反社会的行為に対するハードルを下げることはすでに調査や研究(大人を対象とした)で明らかになっている。
人は、視覚からの情報を優位に受け取る傾向があるため、一度見た光景は記憶に留まりやすいことも分かっている。
イカゲームごっこが実際どういうものであったか、その場をみていないので、判断しかねるが、子ども特有の世界観というか、生きていくための特異な力というのが働く場合もあるなあと思っている。
子どもたちが遊びとして模倣を繰り返す時、自分の中で処理しきれないことを処理しようとする一種の自浄行為であったり。場合によっては、そうせざるを得ない心理が働く場合もあるのでは?と推測する。
例えば、地震に見舞われた後、しばらくしてから子どもたちが地震ごっこをしていたという報告を聞いたことがある。
大人からすれば、亡くなった人や辛い目に遭った人もいる中であり得ない遊びだと思うわけだが、子どもの中には、自ら、仲間とともに恐ろしかった体験を遊びとして再現する中で乗り越えていくこともあり得るのだと、その事例を聞いて理解した。
とは言え、幼い子どもたちは、嫌な思いや恐怖を感じる出来事に遭遇したり、知る必要のない情報を見聞きしないのが幸せで何より望ましいと思う。
地上波のテレビとは異なり、ネット配信の場合、責任は観る側に課せられる。
提示されている利用規程、対象年齢などに対するペアレンタルコントロールは、保護者の責任において適切に設定されなければならない。
そのことを、子どもの傍らにいる人たちは認識して欲しい。
最後に、私の韓ドラ沼生活は、まだまだ続きそうだが、今回、イカゲームをしっかり観ようとしたのは、この作品の原作、脚本、監督、演出を手がけた、ファン・ドンヒョクの社会派作品「トガニ 幼き瞳の告発」を観ていたからでもあった。
2005年に韓国で実際にあった事件/聾学校での児童・生徒に対する性犯罪を描いた作品が深く心に残っていたから。
だから、残虐シーンの度に目を覆いつつ、監督がイカゲームに込めたメッセージに思いをはせた。
(イカゲームを語る会とか、やってみると良いのかも…。)
ああ〜、久々に長々書きました。お疲れさま。