ここあん便り

絵本読みのおばあさん

この春から、小学校の朝読(トトロタイム)が木曜から水曜に変わり、水曜午前は大忙し。
朝一で小学校の読み聞かせに行き、その後、子育て支援センターの「絵本の部屋」という絵本読みのダブルヘッダー(笑)。
小学校、今日担当したのは6年生。
絶対これを読む!と先月から決めていたい絵本。
火の鳥 いのちの物語 金の星社 刊
原作は皆さまご存じの通り手塚治虫先生。
私にとって「火の鳥」は高校生の頃、行きつけの喫茶店で知った、壮大なスケールの漫画。
友達とカウンターに並んで、回し読みしていたことを思い出す、あればヤマト編だっただろうか。
あの世界が、絵本に?
誰もがそう思うだろうが、一冊の美しい絵本になって目の前に現れた。
絵と文章を手がけたのは、絵本作家であり、鳥の巣研究家の鈴木まもるさん。
4月に本の学校(生涯読書をすすめる会)で開かれた講演会には、お子さんたちを含め、会場に入りきらないほどのファンが詰めかけたという、知る人ぞ知る作家さんです。

それにしても、この絵本は本当に素晴らしくて、小学校の子どもたちに伝えたい、読み合いたい〜と即座に思ったのです。
絵の美しさは言うまでもなく、文章から伝わる命に対する慈愛、人を信じる力に惚れ惚れしてしまう。
この一冊は、一家に一冊、子どもの本棚にいつも置いておきたい絵本です。

朝読の後、トトラーさん達との意見交換会で、珍しくも全文読んで紹介し、ここあんで取り寄せ可能と営業までしてしまったほどです。(実はその後の支援センターでの読み聞かせスタッフに「これ、すごく良いから小学校で読んでみて」と強引に貸し付けちゃった)

さて、子育て支援センターで紹介した1冊もまた、心にしみる1冊です。
てんごく のら書店 刊
こちらは新美南吉の残したメモ(未発表)から生まれた一冊。
長野ヒデ子さんの絵がまたあたたかく、愛情たっぷりの家族の日常にほっこりしつつ、大切なことをしみじみ伝えてくれます。
支援センターの絵本の部屋で、小さな人たちがお母さんのお膝にだかれ、まさにてんごくにいるような顔をして聞いていました。
絵本を聞いているお母さん達も、次第に穏やかな表情になっていくのが分かりました。
お母さんの応援歌でもあるのだな、と思いながらその時間を味わいました。

こうして、お子さん達や親子に、絵本を紹介できること。
その世界を共に旅することができるのは、幸せなことです。

良い絵本と出会えること。
そうした絵本づくりに関わる方達にも、心から感謝し、敬意を表します。