せなけいこさんの絵本、ここあんにも数冊あるけれど、あまり積極的には読まない。
どうしてかな。好きか嫌いかと問われたら、個人的にはあまり好きではないタイプの本なのかも。
けれど子どもが「読んで!」って持って来たりすることは多いんだよね。
今日、「親子で絵本を楽しむ会」のスタッフとしてでかけた先で、おはなし会の後にせがまれるがまま次々に読んだ絵本に、せなけいこさんの絵本があった。
「きれいなはこ」という絵本。きれいなはこを見つけたねこさんといぬさん、どちらも自分が見つけたんだと言い張って、ねこさんはいぬさんをつめでひっかくし、いぬさんはねこさんにがぶりとかみつく、そしたら大変なことになっちゃうの。
実はこの絵本を読む前、2〜5歳ぐらいの3人の男の子たちが絵本の真ん前に座りたくて膝の上に乗り合うようにぎゅうぎゅう押し合って場所取りをして、ちょっと手や足が出たりしていたのね。ケンカにまでは至らないけど、もめはじめてたわね。
ところが、この本を読み始めたら表情が一変して、みるみるしおらしくなっちゃった。
「きゃーっ!!」ねこさんのつめがのびちゃった。
「きゃーっ!!」いぬさんの口が大きくなっちゃった。
ページをみているときの子どもらのぎょっとした顔、助けを求めるような眼差し。
最後に「おばけになっちゃった」で終わると、しばし沈黙が・・・。
あら、この本、効き過ぎた?って思ったらすぐに「もう一回!」とみんなの声が揃った。
読んでいたこちらも、ホッ。
2度目も、やっぱり怖いんだけど、おばけになっちゃうねこさんやいぬさんの真似をしたりして、怖さを面白さに代えようと、3人で大きな口を見せ合ったりしていましたよ。
子どもたちの表情が本当に面白く、1冊の絵本が心を動かす様をじっくり観察させてもらいました。
せなけいこさん。もう少し積極的に読んでみようかな。そんな気持ちになった出来事でした。