ここあん便り

ままならぬ日常

手押し車(老人車)をそろりそろり、押しながらの足音が徐々にこちらへ近づいてくると、無意識に身構えてしまう。

「まりこさん・・・」(ほら来た)
さらに近くまでやって来て
「あんな〜」
(何故か耳元まで近づいて小声で・・・)
「私の部屋のティッシュがなんなったけんな〜、また買って来てごいて」
(あれ?ついこの前新しいのを買って渡したはず・・・)と思いつつ、ひとまず
「はい、はーい!」
(大きな声で元気よく)
トイレットペーパー、ティッシュペーパー、更に訳あってトイレの手ふきタオルをやめたので手ふき用ペーパー等々が順々に、それもかなりなスピードで消えていく日々。
ああ、森林破壊に荷担しているわ〜
私の理想とするところとはほど遠い現実に後ろめたさを抱きつつ、毎度毎度使い捨て紙類の買い出しにおわれる。
そして今、長老様の下着もそろそろ使い捨てになりそうな・・・。
「まりこさん・・・」
声のトーンが下がっているときは
「パンツが汚れたけん捨てちょいて」
「あ、はい、はい。」
人が生きていくってことは、大変なこと。
思ったようにはいかないものですね。
あ、またそろりそろり、じわりじわり、足音が近づいて来ます。
今度は何かしら?
悪い嫁は時に「聞こえないふり」などしつつ、暮らしています。