キャンドルナイトの準備をしながら必ず思い出す人がいる。
今夜も、空の上から、私たちを見ているかしら?
今日のように雲行きの怪しい日などは、かつて季節外れの台風の中開催したキャンドルナイトを思い出す。
「大丈夫、通り過ぎますけん」
開催日当日の午後、主だったメンバーで対応を協議していたとき、パソコンの天気予報図を見ながら言うKさんの言葉を皆が信じることにした。
結局、台風は通り過ぎたけれど、湿り気を帯びた風がびゅうびゅう吹きぬける本町アーケード、水木しげる記念館前のステージでのプログラムを強行した。
駅前通から商店街まで、信号機までも消灯して暗闇をつくり、妖怪たちも喜んだであろう幻想的なキャンドルナイトを演出したその夜のことは、今でもはっきりと覚えている。
面倒なことを全て請け負ってくれるKさんに甘えて、やりたいことを思いついてはやりたい放題、私にとって本当に楽しみで大好きなイベントになった。
そのKさんが「いつまでやります?もう、いいかな・・・」と後ろ向きな言葉をつぶやいたとき、Kさんの心の変化に気づくことができなかった私を後々悔やむことになったが、その後悔は、今なお、私の心の中にぽっかりと埋められない穴を開けたままだ。
だからこそ、Kさんがいなくなってからも、私たちはキャンドルナイトのイベントを続けることができたように思う。
竹を切り出しに行き、竹筒に天ぷら油で作ったロウソクを流しこみ、キャンドルナイト用のロウソク作りをしたね。
冬至のキャンドルナイトには、寒い中アサリをとって来て味噌汁の振る舞いを準備してくれたこと、ペットボトル灯籠の調達もほぼひとりでしてくれたこと、Kさんのいないキャンドルナイトは本当に大変だったんだ。
今夜、24回目のキャンドルナイトを開催します。
テーマは「星空」。
雲が厚くて、お空の星は見えないかもしてないが、見えなくたって、そこにある。
雲の向こうから、私たちをちゃんと照らしてくれているよね。
空の上からKさんが「もう、いいかい?」とたずねたら、「もう、いいよ」と答えたいと思う。