「かーちゃま、お願い」と呼びかけるものあり
「あ、はいはい」とわたし
腰痛の夫に、毎朝靴下を履かせるのが日課になって久しい
長老様に加え、頼りの夫にも介護が必要になるなんて
とにかく私は元気でおらねばと、心に誓う35回目の結婚記念日
なにひとつ期待することもなく、いたってすっきり
ごく当たり前の1日で「よし!」
夫婦とは不思議なものだなあ
生まれも育ちも異なる男女が共に暮らすことの困難と面白さ
考え方など価値観が同じ人同士で仲良く暮らすのも楽しかろうが
私は、そうでないもの同士が互いの考えを尊重しあって暮らすことに
どちらかというとその意味を感じている
実際に夫との生活には35年経っても驚きの発見があり
残念に思うことももちろんあるのだけど
物事の見方、捉え方が違う人と暮らすことで
教えられること、考えさせられることが多いから
息子たち夫婦を見ていても
それぞれに必要な、足りない部分、
苦手な部分を補い合うような相手と結ばれているなあと思う
亡くなった両親は、子どもの目にも強烈な印象を与えた夫婦だった
破天荒な人たちだったので、穏やかな時間ももちろんあったのだが
そうでない時間の方がはるかに印象に残っている
あれは、両親が子どもに残した大いなる「戒め」であり「教え」だっただろうか
子どもの頃から、父と母とが「夫婦」であり続けていることを度々不思議に思ったが
あの父には母が必要で、あの母にも父が必要だったのだろう
私達夫婦から、息子たちも知らず知らず何かを学んでくれているのだろうか
それがもうしばらく、
欲張っていいのなら、できるだけ長く続いて欲しい