ここあん便り

4月の”あぶぶ”

春になったなあ〜。
入園進級にともない家族をふくめ、小さな人たちの環境も変化する春。
やけにスッキリした表情のお子さんや、どことなく落ち着かない様子のお子さんなど、小さくて何も分かっていないように思ってしまうけれど、私たちが思う以上に、あの人たちは状況を理解しているし、自分が安心できる人や場所を確保しようと努力しているのだと思う。
環境への適応力は、天才的かも知れませんね。
そして、食べることにどん欲なの[#IMAGE|S5#]も見ていて頼もしい。
ミオ・フェティリティー・クリニック みおごはん(厨房)から届いた今月のおやつ、豆乳プリン。
ついこの前まで、お母さんが「おいしいわ〜[#IMAGE|S12#]」って食べて、ちびちゃんはスプーンの先にちょこっとのっけてもらって味わっていたのにねえ。
「お母さんにもお味見させて」と頼んでも、プリンのカップから目をそらすことはなく、スプーンを固く握りしめ、己の口とプリン以外への移動を許さない。
「これは、わたしのよ!」と態度で自己主張。
あちらこちらで、そのような攻防戦が繰り広げられているのをただただ楽しく眺めています。

わらべうたの後に絵本を三冊ほど読みますが、今月はいちこ(福音館)を加えてみました。
冬から春、いちごが季節毎に花をつけ青くて小さな実を実らせ、色づいていくさまを見ながら、美味しいいちごを食べたい気持ちでいっぱいになる絵本です。
小さな人たちはよく見て、よく聴いていますね。
いちごが少し色づいたのを見つけると、じっとしていられない。
真っ赤に色づいたいちごを見ると一斉に絵本の前に行列。
「はい、どうぞ」
にわかに争奪戦がはじまるほど、絵本の中のいちごは魅力的。

ここあんの裏庭へ出てみると、まさに絵本のはじめの頃のよう。
「わたしもいちごです」
「わたしもいちごです」ってあっちこっちに葉を広げ、知らぬ間に広がっています。
花が咲いて、実がなる日を心待ちにしておきましょう。

ここあんの裏庭で密かに増え続けるいちごを見ながら、この絵本が伝えることの確かさに改めて感動しました。
小さな人のための絵本だからこそ、身近な生物植物を題材にする上で忘れてはならない大切なことを、ここに見るような気がします。
そして伝える側も、そうした「本当の姿」を理解していてこそ、その絵本の魅力を伝えることが出来るのでしょう。

まだまだ精進しなければなりませんね。