ここあん便り

若葉の頃

昨日は古い友人の誕生日だった。
もう長いこと会っていないが、忘れることの出来ない記憶の中の大切な友。
中学から高校。
自己を確立しようと周りとぶつかりながら過ごした日々。
彼女がいたから私は私になれた。

二人で小さな詩集を作って過ごした。
今ならPCでそれらしいものが瞬時に出来ただろうが、
互いに手書きしたものを持ち寄り、コピーして綴った。
読者は特になし。
けれど、それで良かった。

当時の私たちがスマートフォンを持っていたら・・・と考える。
きっといつまでもおしゃべりを止めることなど出来なかっただろう。
二人の詩集を顔写真付きでネット配信していたかも・・・。
自分たちだけに通用するルールが存在し、何よりも「今」が大切に思えたあの頃。
ネットなどなくてホント良かったなあ。

長電話を咎められ、話半ばでその後互いに眠れぬ夜を過ごしたこと、
自分の発したその言葉ひとつの重みを嫌と言うほど実感した日々。
会えない時間は、互いを思いやる時間だったと思う。

今、「私らしく」という言葉を使う度、若葉の頃の友人を思わずにはいられない。