先日、境港市アートスタート事業、今年度最終回のサポート(NPOの事業)にでかけた。
写真はリハーサル中の出演者(マイトリーの二人)、境港市子育て支援センターひまわりの遊びの部屋にて。
いつもはこの部屋に滑り台や小さなお家、大型積み木(上を歩ける)、ロディーなどあって、小さな人は走り回って遊んでいる。
出演者のひとり、歌うたいのさやかさんが子連れで遊びに来る場でもある。
そのいつもの遊び場が、この日は”小さな劇場”になった。
(遊具を片付けて会場準備して下さったセンターの皆さん、ありがとうございました。)
開演前の打ち合わせで、センターの職員さんから「子どもたちが舞台に駆け込むと思うので、防ぐための手立てが必要」だと心配され、舞台袖に我々がスタンバイして対応するので大丈夫!と応える。
これは保育園・幼稚園公演でも先生方から不安がられることのひとつ。
子どもって、空間が広いと走りたいし、珍しいモノには近づきたい人たちですから、ね。
けれど、私たちが実施するアートスタートの空間で走り回ったり、大声で騒ぐってことはほぼ無いのです。
開演五分前、開場を待つ親子のざわつきが聞こえだし、私たちもドキドキ。
いよいよ開場。
ドアを開けると、お子さんたちが(ひとりで)勢いよく駆け込んできた〜
なるほど。
すかさず「お母さんと一緒に入ってね〜、お母さんはどこかな」とストップの声をかけ、入り直しの指示をする。
「お子さんとね!お子さんと一緒に入りましょう〜」
お母さんたちに聞こえるように、再度案内する。
親子で手を繋ぎ、抱っこされ、親子連れが会場に入ってくる。
「お母さんのお膝に抱っこで座ろうね」
「お子さんをお膝に抱っこして、親子で安心して楽しめる場所に座りましょう〜」
3名ほどの元気な2歳前後と思われるお子さんが、舞台に駆け込もうとする。
舞台袖にスタンバイしているNPOの担当者(私を含め2名)が待ち受けて捕まえ、「お母さんのお膝に戻ろうね」と連れ戻す。
追いかけられるのが嬉しいと見え、(なるほど、いつもこれを楽しんでいるのだな)キャッキャ言って、駆け出す、連れ戻されるを繰り返すので、あえて黙って制止し、親の元へ運ぶ。
お母さんの膝に戻すとき、「あなたの場所はここだよ」と目で語って聞かせる。
良いか悪いか、親の方は子どもを追いかけたり言葉をかけることはない。
(この場合、親の声かけや動きによって余計興奮する事も考えられるので、良かったのか?)
主催者挨拶の頃には、お子さんたちは皆お母さんの「おひざのうえ」で、何が始まるのかなあ〜って顔で待つ。
挨拶の間、チョロチョロしていたお子さんたち、隙あらば飛び出してやろうか、って顔を見せるけれど、舞台袖の私と目が合うと思案した顔になり、どうやらそれを諦める。
小さな人たちは、ちゃんと分かっているのだ。
というか、今、この瞬間に分かったのだろう、ここでは親の膝に座っておくべきだって。
もしかすると、「あのおばあさん、怖い」って思ったのもあったかな?
いずれにしても、走り回らないで親の膝に座っておくこと、今は、ここが、自分にとって、最善の居場所だと学習したに違いない。
そして、その後どうなったと思う?
30分、舞台に釘付け。
舞台の方へ飛び出すお子さん、一人もなし。
終始親の膝の上で、驚くべき集中力で、歌を、わらべうた遊びを、アートスタートを満喫。
目を輝かせ、幸せいっぱいの心と身体を弾ませていた。
ああ〜、子どもたちってすごいね。
マイトリーの二人の素晴らしさがあってのことだけれど、25組、50人の全ての瞳が同じところを見つめ、耳を開き、心を開き、身体中で感じている様子に、涙が出ちゃう〜
こうした経験は、お子さんだけじゃなく親にとっても必要なこと。
親子共に、良い経験となっただろうと思います。
アートスタートだからこそ、その経験ができた、と私は思う。
ちなみに、この素晴らしい作品を手がけたのは、東京在住のわらべうたうたいの坂野知恵ちえのわROOM
知恵さんと境港の関係はこちら坂野知恵と鳥取
2012年に、ここあんに彼女が滞在し、県内アーティスト、地元住民の協力で「坂野知恵のWarabe-uta Party」として発表し、その後県内数カ所での公演を経て、今ではマイトリーが引き継ぎ、「マイトリーのWarabe-uta Party」として県西部を中心に上演を続けています。