ここあん便り

2冊の(同じ)絵本

昨日紹介した松居さんの本の中に、同じ絵本が4冊ある話が紹介されていて興味深かった。

お子さん3人にそれぞれの本棚があり、同じ絵本をそれぞれが持っていることも珍しくなく、時には松居さんも自分用にその絵本を持っていたりして、同じ絵本が計4冊ということもある、というお話し。
家庭にある絵本は、たいていみんなのもので、兄弟姉妹の誰かが気に入って買ってもらえば、その後同じ絵本を買うことはあまりしないものだ。
「これは私の絵本」という所有権のはっきりした与え方を良いなと思った。
ここあんの本棚にも、同じ絵本が複数あることが珍しくない。
ここあん用と私個人のがごっちゃになっていたりしてのこと。
昨日の”とことこ”後、面白い出来事があった。
Sちゃん(2才)が本棚から2冊の絵本を嬉しそうに抱えて私の所へやって来て、「これ、読んで」と言う。
「同じのが2冊あったんだね。どっちにする?」と私。
Sちゃんが「こっち」と指さす方を読み始める。
Sちゃんは、残りの一冊を大事そうにしっかり抱えたままお話しを聞いている。
読み終わると「はい、これ読んで」と抱えている絵本を差し出す。
「おうちにも、ある・・・」とSちゃん。
私は絵本を取り替えて「同じ絵本だけど、これにはねえ・・・違うところがあるよ」と、はじめのページを開きながら、みなみさんのサインを指さす。
「ここあんさんへ」って書いてあるでしょう?
Sちゃん、びっくりしてのぞき込む。そして驚きながら目を輝かせる。
ふたりで嬉しくて顔を見合わせてしばし笑い合った。
絵本を開き、こかげで・・・と読めば「ぽ!」と声を上げるSちゃん。
蝉の抜け殻を指さして、「せみのあかちゃんが、おおきくなりたいよ〜って、きたの」と力説。
お家で,お母さんと幾度も開いた絵本なんだろうなと想像しながらSちゃんと一緒に絵本を楽しんだ。
そして、最後に彼は満足そうにこう言ったのだ。「また、これ読んで」と。
もう一回読めと言っているかと思ったが、聞いていたお母さんたちが「今度またっていうつもりじゃない?」と教えてくれた。
そうか、だれかにこの二冊の絵本をまた読んであげてね、という意味なんだ。
なんだかすごい!

同じ絵本でも、同じじゃない。
昨日はそのことが腑に落ちたなあ〜。Sちゃん、教えてくれてありがとう。

小さい人たちは同じものを見つけると安心しますね。
「これ、家にもある!」は本当によく耳にするフレーズ。
そういうとき、「せっかく色々絵本があるんだから、お家にないのを読んだら?」とお家の人はよくいうけれど、やはり、お子さんたちのリクエストにはちゃんと意味があるんだね。