ここあん便り

雨の記憶

喫茶店のガラス窓から、雨の降るのを見ているのが好きだった

思春期の頃
女友達がスケッチブックを抱えて走ってくるのを
恋人を待つような気持ちで見つめた
大人への入口を前に
手をつないで立ち止まっていてくれる
特別な友達がいたこと
それは今も私をしっかりと支えるかけがえのない時間
いくつになってもその頃の自分が愛おしく思えること
それが嬉しい
かつてのピュアな私を思い出せるのは
幸せなことなんだろうな