ここあん便り

生きるための絵本

知人から教えてもらい、正置友子さん出演のラジオ深夜便(聞き逃し放送)を聞いた。

絵本学の研究者であり、地元(大阪吹田市)で長年、今も尚文庫活動を続けている方だ。
恥ずかしながら、正置さんのことは存じ上げておらず、ただ、教えてくれた方が文句なしに尊敬できる方だったので、これは聞かねば!と思ったのだった。

40分、耳に響いてくるのは優しい語り口、きれいな言葉、50年にわたる実践を通じ探求を続けている「絵本」と「子ども、人」との関係性についての確固たる解釈。
いちいち頷きながら、1940年生まれの正置さんの年令をつい計算して、驚き、尊敬する。

50年。
文庫の歴史は、世の中の変化(子どもが育つ環境)とともにあったこと。
始めて間もない頃、3DKの公団住宅(自宅)の一室ではじめた文庫に、100名の子どもたちがひしめきあったという。
今は、地域の集会所で週1回の文庫活動と共に、対象年齢別のおはなし会、絵本を読む会、を開いているそう。
新たに「60歳以上対象の絵本の会」も始めるのだとか。
子どもが以前のように文庫に集わず、閉じてしまう文庫も多いけれど、そのことをことさらに憂いたりしない。
時代の変化や人のイトナミが変わることも、しなやかに受け止めておられるように感じた。

現在も絵本を学問として探求し続けておられること、取組中の研究をまとめるには30年必要とか。
ただただ、脱帽。

私がここあんでお子さんたちと絵本やわらべうたを楽しむようになって、まだ20年にも満たない。
わらべうたの会(あぶぶ・とことこ)をとりやめて、これからどうしよう〜とひとり悶々としていたけれど、なんだかそんな自分が馬鹿らしく思えてきた。

正置さんはこうもおっしゃった。
子どものためとか、そういうつもりじゃないんです。
幼い頃から疑問に思ってきた「何のために生きるか」、の答えが絵本の中にある。
だから、絵本を、できれば読んだ方が良いのです。

正置さんの著書を取り寄せて読んでみよう。
生きるための絵本(好書好日)