ここあん便り

珈琲

定期的に、出かけたくなる場所がある。
そこへ行くと、ごちゃごちゃになった頭の中を整理することが出来るような気がして。

例えば一杯のコーヒーを、私のためだけに丁寧にいれてもらう。
シュンシュンとお湯の沸く音、コーヒーを挽くその音と香りは、「用意は良いですか?」と私に問いかける。
仕事の段取りを考えようとして広げた手帳をひとまず閉じて、ひとり静かに私のための一杯を待つ。

コーヒーが特別好きなわけでも、理解できているわけでもないのだ。
ただその空間で繰り返される一連の手順にこそ価値があるんだね。

夜、「今日のお茶は・・・?」とせがまれて、コーヒーメーカーに水とコーヒーを入れ、ちゃちゃっ!と差し出すコーヒー一杯。
ああ、なるほど。
心を満たす一杯とは大いなる違いがありましたね。