ここあん便り

旅立ったサムライ

ぷんぷんっ!!
庵主さん、遂にネジ巻を忘れたでしょ!
夕べからワタクシじ〜っとカチっとも音をたてずにおりますよ。お陰でここあんの時間は止まったままです。ぷん!ぷん!。
「ありゃりゃ、ごめ〜ん」って慌ててネジを巻き、時間を早送りする庵主さんです。

さて、1年ぶりのサムライは、ちょんまげをこざっぱりと今風にカット、歯のないゲタは地下足袋に変わり、雨の中「番傘」をさし風呂敷を斜にくくりつけてやって来ました。
「お帰りなさい」と庵主さんは出迎えて、その夜はキャンドルナイトの人たちと「一品持ち寄り夕食会」を私の眼下で開いていました。
それにしてもサムライは観察するにはもってこいの人物です。
風呂敷の中には生活するのに必要なものが入っています。もちろん野宿の対応もバッチリです。皆さん、モノを持ち過ぎですね、サムライを見ていると良く分かります。
今回サムライは船舶の免許をとるためにやって来たらしいですが、試験に行く朝、面白い光景を目にしました。
何やら新聞紙に包んだ細長い物体を取り出しました。長芋でも出てきそうな細長さ、何だろう・・・。
新聞紙から出て来たのは、前夜に洗い、乾き切らなかった足袋のようでした。
もちろん中にも新聞紙が細長く詰めてありましたが。
私と同じ時代を生きる人のようで懐かしかったなあ。
私もさまざまな時代を生きてきましたから、昔を思い出したのでした。