ここあん便り

支援のカタチ

先週、地震後の倉𠮷で気になったのは「見えない被害」のこと。
被災家屋の多くは高齢者だけで暮らす古い住居のように見受けられ、ひっそりと避難生活を送っておられるのではという印象。

そしてまた、いつも通りに日常を送る人々もまた「見えない被害」に疲れを感じているのでは?ということ。
余震が長く続いたこと、「しばらくは大きな余震に供え、用心して下さい」という言葉への恐怖。

2000年に発生した鳥取県西部地震の後、支援活動を行う中で「自分自身がずっと緊張し続けて来たことに初めて気づいた」という声を幾度も聞いた。
「劇・遊び・おはなしのキャラバン隊”ファンタジーボックス”」で訪れたのは山間の集落が多く、「はじめて人形劇を観ました」という声にも驚かされたが、その次に多かったのが、先ほどの呟き。
子どもたちとともに絵本を読み聞かせてもらううち、「肩の力が抜け、からだがホッとあたたかくなるのを感じた」とか、人形劇を観て「震災後はじめて心から笑った」とか、子どもたちの笑顔のためにとはじめた支援事業は、子どもに寄り添う大人たちをケアーすることにもつながっていることを知り、私たちにしか出来ない支援の形を見つけられたこと、そして本当に喜んでもらえたことが嬉しかった。
ファンタジーボックスでは、プロ、アマ問わず、様々な人を被災地に派遣させてもらった。
全国のおやこ劇場・こども劇場から寄せられた義援金を頼りにノーギャラで駆けつけて下さったプロの劇団の派遣活動を1年半にわたり山陰両県の被災地で行うことが出来た。
そこで学んだことは、関わった私たちにとって大きな財産になっている。

「はじめて人形劇を観ました」という人がこんなにあること、そのショックから、「全ての子どもたちに小さな舞台との出会いを」という願いが芽生え、やがてNPO法人こども未来ネットワークの設立へとつながっていったことを、今、しみじみ思い出す。

今回の地震発生後も「アートスタート」でお世話になっている創造団体の皆さんから「いつでも行きますよ」「お声かけ下さい」と有り難いメッセージが届いている。
屋根に上がったり瓦礫の撤去はできないけれど、私たちは私たちにしかできない支援をしたい。
ファンタジーボックスの出番かな。
明日はNPOの理事会。
みんなに提案してみよう。