ここあん便り

幸せな子ども時代

孫娘(7歳)が泊まりに来ました。
家族では度々泊まっていますし、弟や妹が生まれた時など、親のいない夜を経験済みですが、自分の意思で「ひとりで泊まる」のは、はじめてだったかも。

夜8時を過ぎて、どうやら眠くなってきたようで「もう寝る」と宣言。
婆「どこで寝る? 2階(ジジババの寝室)?それともおっきいバアバの部屋(家族で泊まるときに使う部屋)?」
孫「う〜ん、2階!」
婆「じゃあ、用意するね」
ジジババ二人のベッドで、川の字になって寝られるように、ベッドとベッドをピタリとくっつけ、そこに枕と布団を追加した。

足取りも軽く2階へ駈け上り、ベッドに入り、もぞもぞ…やがて、

孫「やっぱり、かっか(お母さん)が良いなあ〜」
婆「そうだねえ、かっかが良いよねえ〜」
孫「かっか、どうしてるかなあ?」
婆「風邪がよくなってると良いねえ、ゆっくり寝て、明日はみんな(弟や妹)と一緒に来られると良いね」
孫「そうだ、良いこと考えた、びゅ〜んと、カッカのところへ行って、カッカ連れてくれば良いじゃない」
婆「びゅ〜ん、って?何? 夢の話?」
孫「違う!車でだよ、車で行って、連れて来れば一緒に寝られる」
婆「カッカは風邪ひいて寝てるんだから、無理でしょ!来ないよ〜」
孫「・・・。」
婆「もしかして、帰りたくなったの?」
孫「・・・うん」

この後、あれこれ言ってみるがらちがあかず。
一旦起きて、リビングに戻り、ジイジに車で家へ送ってと頼んでみるものの、
「もう、みんな寝てるぞ!」と、まともに話を聞いてもらえず。

「自分で泊まるって決めたんだったよね、自分で決めたことだから、やってみようよ。朝には、みんなが来るんだしね」とジジババにやんわり諭される。

結局、テレビを少し横目でみながら黙って過ごすうちに諦め、眠気にも勝てず2階へ上がり、9時にはスヤスヤと寝息を立てていた。
布団の中で初めの頃、もしかしてシクシク(泣いてる?)という気配もほんの少しあったが、寝てしまえば朝までぐっすりの孫だった。

そもそも、どうして急に母親が恋しくなったのだろう?隣で横になりながら私は考えた。
「みんな(家族)もう寝たかな」みたいな話をした辺りからだな、きっと。
孫がふいに「大人になったら、(家族と)別れなきゃいけないの?」と聞いた。
婆「大人になっても、ずっと一緒にいる人たちもあるわよ。色々よ〜」
孫「ずっと、ずっと、かっかと一緒が良い!」
婆「そう〜?じゃあ、ずっと一緒にいたら良いじゃない〜」
孫「でも、結婚して子どもをうんだりしたい」
(え?ちょっとおどろく婆)
婆「子ども?赤ちゃんとか、好きなの?」
孫「とっちゃん(妹)とか、すごく可愛い〜」
婆「そうなんだ〜」

たしか、この会話の後だった、母恋しい孫になったのは。

ジイジのベッドを占領し、一度も目を覚ますことなく朝まで寝た孫は
「夢で、かっかがびゅ〜んって飛んできて一緒に寝てくれた」と起きがけに教えてくれた。

小学生になり、学校生活で日々奮闘している孫。
弟や妹にまだまだ手がかかるため、日々我慢している孫。
この孫との一夜の出来事を通して、彼女の日常を感じることができた。
本当に、日々頑張っているのだな、婆にできる応援とは何だろう?と。

そしてまた、母親とずっと一緒にいたいと願う孫、結婚して子どもを産みたいと願う孫に、感動した。
だって、それは、幸せだから出てくる言葉だと思うから。
大きくなったら離れなくてはならないかも、と大人になることへの不安を、かすかに抱き始めていることも成長の証のように感じられ、そうした不安と戦いながらひとりで泊まることができた孫に、こっそり拍手。


朝、ジイジとラジオ体操をする孫。

「7歳までは神のうち」
純粋無垢な、今の孫娘を忘れないように、ここに記す。