ここあん便り

子ども時代に必要な「3つの間」

子どもは、あるときぽーんと何の前触れもなく、驚くような力を発揮することがあります。

親を試すように「いや!いや!」を限りなく連発していた人が突如「いいよ!」と言いはじめるとか、昨日まで一人ではできなかったことができるようになるとか。
遊びでも「一体いつまで付き合わなきゃいけないのか」と忙しい日常の中、ついそう思いながら過ごしているけれど、「あっち行ってて」など、言われるときがやって来る。
昨日は孫たちが揃って遊びに来て、一日じゅう従姉妹同士楽しく遊んで過ごしました。
帰り際ひとりの孫が「明日は保育園行って良いよ!」と弾んで親に言うのです。
今日一日、本当に満足して遊べたから明日は保育園へ行っても良いよ、というつもりなのでしょう。
保育園が嫌いなわけではありません、1歳前から通い続けているので通うことは彼女の日常なのだけれど、家族みんなで過ごせる「お休み」が何より好き。
朝寝坊してお母ちゃんの出勤を笑顔で見送れない日は「お母ちゃん、行かないで!」と泣いてしまう、まだまだ甘えん坊の3歳です。
金曜の夜、夕ご飯の後ゲームをして遊びながら「あした、おやすみ?」と聞く孫、いつもせわしないのに落ち着いている親の気配を察したのでしょう、「そうだよ、お休みだよ」と聞いてとろけそうな笑顔を見せました。
私はそれを思い出し、孫が「お休み」の一日を満喫できたこと、その喜びが「明日は保育園行って良いよ!」に繋がったのだなと思いました。
では一体、何がそんなに彼女を満足させたのでしょう?
昨日、私は二人の遊びにちょっと変化を感じました。
親たちの関わりなしに部屋じゅう大散らかしで想像遊びを繰り広げます。
寝てしまった親をいつもなら「寝ないで!」と起こして遊びに付き合わせるのですが、起こすこともせず、「買い物に行くよ!」という親の声にいつもなら親と離れるのは嫌がるはずが「行かない!」と言い、バアバ一人を仲間にして二人のワールドは賑やかに忙しく広がっていました。
紐を見つけてドアノブに引っかけ「お家を作る」とあれこれ工夫しますが思うようにはいきません。
「バアバ、ここもっといて!」と言われ、紐を持つ係を任命されますが、ずっと持ち続けるのも辛いので、椅子を持って来て代役にすると、「ここになんかかける!」と次の指令。
私のエプロンを紐にぶら下げ「これでどう?」「あ、いいよ。ここがおうちで〜す!」
「じゃあ、バアバはこのお家にいてね!」と以後、エプロンの家の奥でじっとしているのが私の仕事に。
お手紙の配達ごっこ(手紙を書いて(つもり)ポスト(急ごしらえの段ボール)に入れる)
カエルの家の引っ越しごっこ(色とりどりのカエルのおもちゃを持ってあっちこっち移動する)
病院の開業、お医者さんごっこ(「次の方〜」病人を診たり、薬を飲ませたり…)
…思いつくままに二人のごっこ遊びは役割を交代したり新たな役割を生み出したり広がり続けました。
二人で上手に遊べているなとそっと抜け出すと「バアバはお家にいて下さ〜い」と大きな声、「はいはい」とエプロンの家に戻り、二人が遊ぶのを眺めていました。
ああ、本当に二人で遊べるようになったんだね〜としみじみその成長を実感しつつ過ごしました。
2時間近く、そうして遊んだ二人は用事を済ませ帰ってきた親たちに甘えることもせず、今度はゆったり落ち着いて絵本やゲームを楽しんで過ごしました。
夕方、多少気温が下がっただろうと公園でひと遊びし、真っ赤な顔をして帰ってくると、はじめて二人一緒にお風呂に入りました。
夕食後、「もうお家に帰る!」いつもは「帰らない、まだ遊ぶ!」と言うのをあれこれなだめて送り出すのですが、二人とも、充分に遊びきって満足したのでしょう、笑顔でそれぞれに帰って行きました。
子どもが育つ上で「3つの間(時間、空間、仲間)」が必要と言われています。
それらが保障される中で遊べること、それがどれだけ大切なのかを考えさせられた一日でした。
孫たちはこれから、親と過ごすより仲間との時間を求めるようになるでしょう。
それは大きな成長の証でもあります。
ひと月違いの従姉妹同士、何をするにも互いを意識するライバルでもあるふたりのこれからが楽しみです。
これから先、二人(仲間)が思う存分遊べる「時間と空間」を保障してやらねばと心に誓うバアバでした。
「もう一回!」が止まらない
カードゲーム「虹色のへび」

こうしたゲームも、もうじき二人だけで遊べるようになるだろうね

この日、今までごっこ遊びにしか興味を示さなかったこっちゃんがめいちゃんに誘われたゲーム遊びにはじめて主体的に参加する姿がありました。
その後、カードを積んで遊びはじめたジイジやトットの真似をして黙々と試行錯誤しつつカードを積みを繰り返し、誰の手も借りずひとりで思い通りにカードの家を完成させました。
「やった〜 できた!できた!」とバンザイをして喜ぶ姿に回りのみんなも拍手喝采!
もしかすると、彼女が「できた!」と実感できた最初の記念日かも知れません。

根気よく、失敗しても諦めず、ひとりでやり続ける姿に誰よりも驚き感動したのは親たちでしたが、「できた!」を実感できる日まで根気よくつき合い続け、寄り添い続けた日々(親が)があってのことです。
通い始めた幼稚園や週末に遊ぶめいちゃんとの時間も大きな助けになったことでしょう。

ああ、良い一日だった。
孫たちの成長を感じ、私自身も満足感でいっぱいになりました。

長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。