ここあん便り

勝手ながら「こども劇場の進む道について」

「0歳から入場できます!」というファミリー向けの音楽会に参加して、言葉で説明できないモヤモヤをどうしたものかとその始末に悩む。
だから、その日からずっと心が晴れなかった。

開場前から大勢の親子連れが開会を心待ちにしている様子にまず驚き、子育て世代及び祖父母世代がこのような機会を求めている現状を目の当たりにした。(本当にすごい人だったの)
おひざのうえの小さな人たちは無料。
しかし、その数は予想(私の)を超えていた。
ようやく首が据わったかな、という乳児も多く、乳児のみを連れている参加者が多い。

今、同じような企画が全国的に増えている。
0歳から参加できるコンサート、と添え書きされたクラシックやオペラなど、名の知れたオーケストラでさえこうした企画を打ち出している。
良いことだね、素晴らしいことだね、と多くの人が評価するし、実際需要もあるわけだから、全国各地のホールで数多く取り組まれているのだろう。

舞台公演に0歳児を連れて入場できることは確かに助かる。私にとっての子ども劇場がまさにそういう場だった。
と考えると、まさに今、全国各地のホールで取り組まれている企画は、これまで子ども劇場がやって来たことだったんじゃないのか。

ただ、残念なのは、マナーの悪さを誰も注意できないこと。飲食、お喋り、泣いてもなかなか外に出ない・・・等など。

そうか、私の中のモヤモヤはこれだったのか・・・。
子どもと共に舞台を楽しむ。そのことの良さと、誰もが楽しむためにひとり一人が気をつけること(マナー)を学ぶこと、それができる場としての「子ども劇場」の役割を、知らぬ間にホールがやるようになっていたのか。
もちろん受け入れ体制としては不十分な面が多く、作品自体にも色々文句を付けたいところではあるけれど。

こう考えると、これから子ども劇場が(鑑賞面で)進むべき道が見えてくる。
アートスタートをはじめとして、年令にふさわしい作品をたとえ小規模でも丁寧に選び実施していくことじゃないかしら。
そして同時に、子どもにとって何が大切かを追求し、子どもと共に大人たちも成長できる場として責任を持って関わり合える組織になること。
地域とのつながりの中で、それをやっていけたら素晴らしい。

それにしても、かぶりものの動物が演奏するのはいかがなものか。
私にはそれがどうしても許せない。
ま、これは好みの問題で、良いとか悪いとか評することではないけれど。