ここあん便り

ネット時代の弊害

今夜は、ちょっと劇場の話をしましょう。

「劇場」というのは、おやこ劇場、こども劇場のことです。
明日は久しぶりに「境港親と子どもの劇場」の定期総会に行くつもりで、資料を改めてじっくり見ました。
会員が減っているのは知っていたけれど、数字で見せられると驚くほど少なくて驚きました。
境港だけのことではない、全国的にそうなのだと思いながら、もしかして面白い取り組みをしている劇場もあるのでは?と何の気なしにネット検索を試みると・・・。
「おやこ劇場」と入れた段階で、そこに続けて入力しようとする私に示されたのは、思いも寄らぬキーワード。
おやこ劇場 怪しい
おやこ劇場 宗教
おやこ劇場 退会
「え?」
こうなると、「怪しい」「宗教」について覗いてみたくなるのが人の心理。
クリックすると、いかにも怪しい団体だから注意が必要といった投稿が幾つもあって気分が悪くなった。
そうか、こういうことが今、起こっているのだなと、気が滅入る〜。
先ほどの検索しようとしたときのキーワード、4,5番目くらいに「おやこ劇場 鳥取」「おやこ劇場 奈良」とか実際の劇場のホームページや活動に関する投稿を見つけられたのが救いだけれど、多くの人は一番上に上がっている情報を選びがちだものね、良くない情報が検索の上位に上がっているという現状を、劇場関係者は知らないのでは?。
多くの劇場が今、運営の担い手不足、会員の減少の中、地域の子ども文化のため何とか踏ん張っている。
ネット上に日々の活動を情報発信したり、団体としての公益性をアピールするような情報公開など、恐らく行うこともできない団体がほとんどだろうから、結果的に、劇場にとってマイナスイメージとなる情報の方に負けてしまうのだろう。
マイナスイメージとなる投稿以上に、ポジティブな情報の発信が数多くあれば、検索の上位に上がるはずだもの。
NPO法人を取得し、従来の会員制の組織から、より公益性の高い活動へとシフトした劇場は、法人格という社会的人格を得て、先の「怪しい」「宗教」といった誤解を少なくとも受けることはない。
法人化するか否かを議論した時代を経て、今があり、鳥取県内の劇場は4劇場全てが法人化の道を選ばなかった。
それが最善と信じ選んだのだけど、これからも末永く活動を続けていくのだとしたら、社会的に認知される必要(法人格を持つ)もあるのかなと考えさせられる。
ネットの中には「共産党と結託している」と明言している人もいたりして、(意見を言うのは自由です)、それを読んで信じてしまう人もいるだろうと思うと、ネット社会の弊害を思い知らされます。
改めて言っておきますが、劇場は政治や宗教とは関わりの無い組織です。
少し話がそれますが、かつて「福岡こども劇場」(劇場が全国に広がるきっかけとなった一番はじめの組織)をつくったT氏などは、その後おやこ劇場全国センター(全国ネットワーク)を牽引し、組織運営を退いた後、国会議員選挙に出馬されました。
その時所属したのは、たしか民主党でした。
世の中を変えていこうとするとき、政治への働きかけは必須です。
ですから時に「子ども」「文化」に関する提言や署名活動などを劇場にも求められることはあります。
その時は、それぞれの劇場で判断すれば良いことですし、私の知る限りでは、超党派の議員に働きかけるようなものであり、特定の政党に偏った支持をすることなどありませんでした。
私が仲間たちと境港に劇場を作ろう、と奔走してた当時を思い出しました。
あの頃も今のネットの中と同じように誤った理解のされ方をしていましたね。
「営利・非営利」の認識不足から「営利団体」だというレッテルを貼られ、どれほど悔しい思いをしたことでしょう。
あれから30年経ちますが、あの頃とは少し状況は異なるにせよ、「誤解」や「偏見」がネットの波間に漂っていることを知り愕然としました。
さて、ではどうすれば良いでしょう。
まずは、情報発信に励むこと、良い話題を増やしていくことに尽きます。
そして、やはり、社会に認知される組織に変わっていくことでしょうか。
私も一会員として、考えてみたいと思います。