ここあん便り

わたしの時間

先日、若きジャズピアニストの演奏会に出かけた。

息子の同級生ということもあり、夫と二人出かける予定だったが、結局仕事が入って行けなくなり、私一人で出かけた。
一人で出かけるのには慣れている。
演奏会やお芝居。遠くまで出かけるほどの愛好家ではないが、鑑賞の機会は少なくない。
お役目で出かけることも多く、お役目、というのは、主催する側の目線、ということだが、そうなると心から楽しむことは、なかなか難しい。
さて、今回のジャズライブ。
はじめの方こそいつもの癖で「雑念」が浮かんでは消え、していたのだが、やがて様々な雑念は全て払拭された。
息子の同級生だとか、ご両親をはじめ、彼を応援してきた人のこととか・・・
そんなことの何もかもをすっかりどこかへ追いやり、ただただ、彼らの奏でる音楽に身を任せていた。
と同時に、私は今「わたしだけの時間」の中にいると気づいた。
わたしの心の奥底にある「魂」が喜びを感じている、とても豊かで幸せな時間がしばし流れた。
素晴らしいジャズピアニストであり作曲家、彼らと共に音の世界を旅する、至福の時。
ああ、心って自由になるんだなあ。
私はその日、「わたしの時間」を取り戻し、晴れやかな気持ちで家へ帰った。
そしてもうひとつ発見した。
ジャズというのをいまひとつ理解できずにいたけれど、
私的理解は「裸のつきあい」[#IMAGE|S12#]
言葉どころか、名前、年令、性別・・・なにもかも脱ぎ捨てて、その人自身ありのまま、音の世界で交流すること。
音というか、きっとリズムなんだろうね。
自分勝手な解釈だけど、それに気づかせてくれた彼らに感謝しなくっちゃ。
「わたしの時間」。また、見つけよう。