ここあん便り

お膝を離れるとき・戻るとき

わらべうたの会(あぶぶ・とことこ)は継続参加をお願いしている。

それは、わらべうたで遊ぶことを、親子の関係ばかりではなく、毎月出会うお子さんと(私と)の関係、お子さん同士の関係を育む中で続けていきたいと思うから。
「とことこ」(2歳以上のお子さん対象)は、そういった意味で、大変面白い。
わらべうたの会を始めて間もない頃、「とことこ」は、人も定着しないし、思うようにできなくて、幾度もやめてしまいたいと考えた。
思うように、というのは、子どもたちが集中できなくて遊び始めてしまったり、絵本に興味を示さなかったり、つまり、じっとしない(させられない)ことへの不満(ふがいなさ)のこと。
まあ、そもそも「とことこ」という名前が表すように、自分の気持ちの赴くまま、あっちこっちに歩き出してしまう年頃の人たちなのだから、当たり前のことなのだが・・・。
それが変化し始めたのは、ある程度の人数が集まりメンバーが固定化してからだ。
わたしは何もしていない。
子どもたちの力で、その場がつくられていった。
「じっとしない3人組」と呼ぶお子さんたちがいた。
わらべうたの途中、絵本の途中などで、ひとりが動き出すと2名が便乗し、3人揃ってどこかへ行ってしまう。
それに引きずられないお子さんも必ずいるし、何よりお母さんたちが参加し続けているので、やがて3人組はその膝に戻ってくる。
この「じっとしない3人組」はやがて、長いお話し(絵本)を最期まで楽しめる人になり、わらべうたを自ら楽しめる人たちになっていった。
子ども同士で影響し合ながら、それを見守る親同士も影響し合っているのだろう。
「わらべうた」や「絵本」、そしてここあんという「場」がそうして親子の成長を支えているのだとしたら、嬉しいな。
お子さんが「あぶぶ」や「とことこ」の最中、お母さんの膝を離れ、どこかへ行ってしまったとしても、無理に引き戻さなくていいのです。
お子さんに「見ているよ」オーラを出しつつ、わらべうたはおかあさんが覚えて帰ればよい。
私はそう思っています。
お子さん自身が自分の意思で「あぶぶ」や「とことこ」に来ているわけではないのですもの。
お子さんたちがお膝を離れるとき、それは外への興味が膨らんでいる証拠。
無理強いするのでなく、理解しつつそっと引き戻してあげられると良いですね。
大丈夫、お子さんは安心できる場所に必ず戻って来るはずです。
自分の意思でここに来ているんだな、と感じられるようになるのは3歳を過ぎ、4歳がが近くなってからだろうか。
そこまで通って下さると嬉しいですね。