ここあん便り

「アート」の力

何のために仕事をしているのか。
私たちが必死でやっていることが、今の社会に必要なことなのか。
自己満足なのではないかと、時に不安が私を襲う。

人が生きていく上で必要なものの優先順位から考えれば、たいていの人は後回しにしてしまうようなことを「大事なこと」だと言い続けているような。
それが私たちの組織(NPO法人こども未来ネットワーク)だから。

昨日、クローズアップ現代に伊東若沖のコレクターが取り上げられていた。
東北の被災地で開かれた若沖の展覧会のインタビューで、人々が「勇気づけられる」「元気が出た」と口々に答えていたが、一人の少女(高校生)のコメントが深く心に残った。

「心の隙間が埋まっていく、というか、あふれ出すっていう感じで・・・、ひとりじゃないんだな。つながっているんだな(生き物や自然、いろいろなものたちと)って感じられて嬉しかった。」と、若沖の絵の前で感動で震える心に驚きつつ、震えのおさまらない手でメモを書く姿に心打たれた。

何もかも失って、喪失感でいっぱいの人の心が色彩を取り戻し、生きている歓びを実感する瞬間を目の当たりにして、展覧会を開いたコレクターはどれ程嬉しかったか。
私まで嬉しくなった。
江戸時代に一人の人が描き残した一枚の絵に、それだけのパワーがあったことを、改めて実感できたことだろう。

そうそう。
私が伝えたいのは、こういうことなんだ。
心の奥底、「魂」に働きかけることのできるもの。
「アート」とは、そういうものだっていうこと。

よかったな。