ここあん便り

「さようなら」の伝え方

最終の「とことこ」が終わり、寂しさとともに成長した人たちの頼もしい姿が誇らしくも思えて、心地よい満足感に包まれています。

みんな、大きくなったなあ〜。
もうすぐ幼稚園に通うんだものね。
赤ちゃんの頃からここあんに通ってくれたYちゃん。
大きな声を出すこともなく、一見おとなしそうに見える彼女ですが、ここあんで過ごす時間を本当に楽しんでくれていて、♪ずくぼんじょ♪など歌うと、それは元気なつくしになっちゃいます。
絵本を広げれば、静かにそっと一番前の席をキープして、可愛い声で言葉を返してくれます。
その彼女がそろそろお帰りの支度と言う頃、私の所へ笑顔でやって来て、両手を広げるの。
「ん?だっこする?」
久し振りに抱き上げるYちゃんに
「わあ〜っ、Yちゃん、おっきくなったねえ〜」と私。
女の子って、なんてふんわりとして柔らかいんでしょう。
Yちゃん、ここあんは今日で卒業ってちゃんと分かっているんだね。
小さなYちゃんは、彼女なりの「さようなら」を伝えに来てくれたんじゃないかな。
その後も私の膝にちょこんと腰を下ろし過ごすYちゃん、
私も「さようなら、元気でね」とだっこで応えた。
ここあんの玄関でみんなを見送るとき、お母さんたちは「まりこさんにさよならして」とか「バイバイは?」と子どもに別れの挨拶を促す。
それは大事なことかも知れないけど、実は私、どうでも良いと思っているの。
何故って、小さな人たちはお母さんの知らないところでちゃんと私に挨拶してくれているから。
お母さんが帰る準備をしているとき、お友達とのお喋りに夢中なとき、「帰るね、またね」と目で合図して、ちゃんとバイバイを済ませているのだから。
Yちゃん、今まで素敵な時間をありがとう。
今なお残る、Yちゃんのぬくもりは、いつまでも消えることのない「さようなら」の挨拶なんだね。