加齢と共に、小さな文字を追い続けるのがおっくうになり、本を読まなくなった。
私が好むのはもっぱら文庫本。
軽くて、持ち歩けるし、寝ながらとか、どんな格好でも手軽に読める。
何より、買う派としては、低価格が嬉しく、積ん読しても場所をとらない。
芥川賞だの直木賞だの、本屋大賞だの…いわゆる書店に平積みされるずっしりとした美しい装丁の本は求めない。
文庫化されるまで待つ。
だから、ブームが過ぎ去り、映画化も終わり、「そういう本があったね」みたいな頃に手に取る。
文庫本にこだわると同時に、元来のあまのじゃくがそうさせるのだろう。
まあそういうわけで、小説を読むよりビデオだわ!って日々が続いていたのだけど、さすがに好みのビデオも見飽きてしまい、目をしょぼつかせながら、毎夜ベッドの中で積ん読書をソロソロ開いてみましたとさ。
いつからベッド横に積まれていたか定かでない文庫本の一冊をつまみ上げ、読み始める。
アーサー・ビナード著「亜米利加ニモ負ケズ」
アーサーさんには、昨年12月、ねっこかなこさん絵本原画展の関係でここあんへもお立ち寄りいただき、カニパ−ティーで楽しい時間を過ごさせていただいたのだったが、私の知らない日本語を自在に操るすごい人だ。
私たちが日ごろ使っている日本語を、その言葉の生まれた背景、成り立ちまで遡って深く理解しようとする姿勢にただただ脱帽。
生粋のアメリカ人から、日本人として、恥ずかしながら日本語を学ぶ、そんな気持ちで軽快なエッセイを読み進めている。
そうして毎夜、灯りを消して目を閉じるとき、アーサーさんはすごいなと、心底敬服するのだった。
アーサーさんが、絵本を数々手がける(翻訳)のも頷ける。
一青窈さんの「ハナミズキ」を英訳した人は、アーサーさんの他にもあったらしいが、一青窈さんが最終的に納得したのはアーサーさんの訳だったと聞いた。
久々にアーサーさんの本を読んでいたら、アーサーさんが和訳した絵本を読みたくなった。
ああ〜、英語ができたらな…。
アーサーさんが英訳した絵本は、英語が理解できないと面白くないだろう、と思いつつ、言葉をなぞるだけでも幸せかもと思い直す。
アーサーさんが英訳した絵本、少し並べてみました。
長野ヒデ子さんの「おかあさんがおかあさんになったひ」The Day I Became Your Mam
宮沢賢治の「雨ニモマケズ」Rain Won’t 絵/山村浩二
和訳した絵本「すばらしい みんな」は、ルイ・アームストロングの名曲「What a Wondeful Word」
ここあん玄関の絵本コーナーに、「アーサー・ビナード/訳、ちょっこし絵本フェア」密かに始めました。
もちろん全て、販売用です♪